植物学的なコーヒー
わたしたちが普段飲んでいるコーヒー、そもそもコーヒーとは何からどうやってできているのか、今回はコーヒーノキからコーヒーチェリーの構造までを説明していこうと思います。
植物学的なコーヒー
そもそもコーヒーとはどういった植物かというと、アカネ科コーヒーノキ属(コーヒー属、コフィア属)に属する植物の総称で、主に栽培種(アラビカコーヒーノキとロブスタコーヒーノキなど)を指す。
コーヒーノキは畑に直接種をまくのではなく、苗床や育苗用のプラスチックポットで苗を育てる。
種をまいてから40~50日程度で発芽をし、半年から9ヶ月後、苗が20~60cmほどに成長した段階の雨季に畑へ移植を行う
移植後約1年経つと若木となり、早いところでは18ヶ月、遅くとも30ヶ月ほどで開花するが、幼木にはわずかしか花が咲かず、身が十分に付く成木になるには、3~5年かかり、そこからは収穫が増加し、丁寧に手入れを行えば20~30年ほど収穫することが可能。10年,20年経つと生産性が落ちてくるので、カットバックと呼ばれる若返りの手法や植え替えを行う。
そうしてコーヒーチェリーと呼ばれる実を結びます(結実)
コーヒーチェリー
結実すると緑色の丸い実ができ、完熟すると真っ赤になる。完熟した赤い実がサクランボに似ていることから、コーヒーチェリーと呼ばれている。
しかし、完熟するタイミングが一粒ずつ異なるため、一粒ずつ手でつまんで収穫を行ったり、機械で一斉に収穫を行い、後から未熟豆などを選別するという方法を取ったりする。
普段目にしているコーヒーとは外見が異なりますよね?
私たちが普段目にしているコーヒー豆というのは、「豆」ではなく、コーヒーノキの種子にあたります。
コーヒーチェリーの構造
コーヒーチェリーの中身は外側から順に以下のようになっており、コーヒーの抽出に使用するのは種子(コーヒービーンズ)であるため、シルバースキンよりも外側のものは除去する必要があります。
- 外皮(アウタースキン)
- 果肉(パルプ)
- 粘液質(ミューシレージ)
- 内果皮(パーチメント)
- 銀皮(シルバースキン)
- 種子(コーヒービーンズ)
精製
コーヒーチェリーからコーヒービーンズを取り出すためには精製という工程を行い、果肉の除去、ミューシレージの除去、パーチメントの脱穀を順に進めていきます。
詳しい精製の話はまた次回に
参考
コーヒーの植物学 | コーヒー百科 | 知る・楽しむ | コーヒーはUCC上島珈琲
Kalita ナイスカットG(NiceCutG) 購入!!早速使った感想!!
どうもCoronaです(✿´ ꒳ ` )ノ
KalitaさんのナイスカットGを購入しましたので、ナイスカットミルとの比較や使った感想、それと最後に写真を多数載せます。
ナイスカットG購入の経緯
自分用にコーヒーを一杯淹れるということであれば、手動のコーヒーミルでも何も問題なかったのですが、出張バリスタをした時に10杯とか20杯とか淹れるということになるとあまりにもお待たせしてしまったり、手動のコーヒーミルでは、コーヒーの挽き目(メッシュ)の設定がしづらかったり、再現が難しかったりと、いくつか問題点が出てきたので、遂に購入に踏み切りました。
購入した当日の動画
以下は届いたその日に嬉しくて撮影したものになります。動画の内容は内容物の確認とナイスカットミルとの違い一覧、そして実際に挽いてみるところまでです。
何か面白い要素を入れようとして中途半端になってますが生暖かい目でご覧ください笑
Kakita ナイスカットG 届いた嬉しさを堪えられずにレビュー!!
やはりナイスカットGといえばナイスカットミルの後継機ということで注目を集めていますので、性能比較は外せない、ということで
まずはナイスカットミル(NiceCutMill)とナイスカットGの性能比較
ナイスカットミルとナイスカットGの性能比較 | ||
ナイスカットミル | ナイスカットG | |
サイズ | 幅120×奥行き218×高さ343mm | 幅120×奥行き218×高さ337mm |
重量 | 2.3kg | |
電源 | 100V 50/60Hz | |
消費電力 | 120W | |
容量 | ホッパー 200g・粉受 100g | ホッパー 50g・粉受 50g |
挽く方式 | フラットカッター(カッティングタイプ) | |
刃の材質 | ニッケルモリブデン鋼 | |
挽く能力 | 中挽き 130g/min | カリタ挽き 100g/min |
こちらがカタログスペックになります。
ナイスカットGの方が性能が落ちているように見えますが、「一杯ずつ挽く」ということを徹底させるためではないかと思われます。Kalitaの上位機種であるNEXT Gでは50g/min ともっと遅くなっていますし、100g/minであっても、一杯あたり20g使用すると考えた場合にかかる時間は12秒ですので、全く問題はないでしょう。
また、挽く速度を遅くしているのは、カッターが熱を持つのを防ぎ、コーヒー豆へのダメージを抑えるためだと考えられます。
ナイスカットミルとナイスカットGのデザイン変更点
ホッパーのふたが持ちやすくなった
ホッパーの豆の限界点が低くなった
豆の飛散防止が搭載された
こな受けが高くなり、縁が広がった
電源スイッチが切り替えやすくなった
Nice Cut Mill と記載されていたのが「Kalita」のロゴになった
挽き目ダイヤルに細挽き・中挽き・粗挽きと記載されていたのが「カリタ」だけになった
まとめ
ナイスカットGはナイスカットミルからデザインや性能がマイナーチェンジした正統後継機
手動ミルから電動ミルへ移行するとめっちゃ捗る!
購入について
わたしはナイスカットGを購入しましたが、ナイスカットGとナイスカットミルは違いがほとんどないため、値段やデザインで決めるといいと思います。
現在、ナイスカットミルは廃盤が決定してしまったため、AmazonなどではナイスカットGよりも高くなってしまっていますが、極稀にメルカリなどで10,000円台で取引されることがあるので、監視する時間と労力があるのであれば、ナイスカットミルを狙って見てもいいかもしれません。
そうではない場合は、安心してナイスカットGを購入するといいと思います。
参考
カリタ ナイスカットGが登場。ナイスカットミルと比較してみました。
http://monomania.sblo.jp/article/97902607.html
ギャラリー
スペシャルティコーヒー・サードウェーブとは 〜From Seed To Cup〜
最近さまざまな場所で目にするようになった、スペシャルティコーヒーならびにサードウェーブとは何かについてご説明いたします。
サードウェーブとは
サード(3rd)ウェーブというのだから、1stと2ndがあります
ファーストウェーブとセカンドウェーブについて
第一の波 ファーストウェーブ
1950年代に戦中から止まっていたコーヒーの輸入が再開され、日本のコーヒー市場が活性化した1960年代、大量生産・大量消費のコーヒーの時代
第二の波 セカンドウェーブ
1980年代に入って高品質の深煎りコーヒー・エスプレッソを取り入れ、テイクアウトやアレンジコーヒーなどがポピュラーになり、コーヒーがファッションアイテムとなった時代
そして第三の波 サードウェーブ
そして新たに3つ目のムーブメントとして、近年注目されるようになってきたのが、脱チェーン、脱マニュアル、脱効率化でスローフード路線のサードウェーブです。産地・農園の特徴を生かしたスペシャルティコーヒーを焙煎・抽出にこだわりながら楽しむサードウェーブでは、一杯一杯、ハンドドリップで丁寧にコーヒーを淹れるのが特徴的です。実はこのサードウェーブ、日本の喫茶文化に深く影響を受けていると言われています。豆にこだわり一杯ずつおいしいコーヒーを提供するおもてなしの心は、古くから日本の喫茶文化で培われているものです。ですから、日本人にとって、サードウェーブは日本の喫茶文化の原点回帰とも言えるのかもしれません。
スペシャルティコーヒーの定義
スペシャルティコーヒーのもっとも重要な考え方として「From Seed To Cup」という考え方があります。以下はSCAJより一部抜粋。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの種子からカップまでの総ての段階に於いて一貫した体制・工程で品質管理が徹底している事が必須である。
スペシャルティコーヒーの定義 « SCAJについて | Specialty Coffee Association of Japan
つまり、栽培、輸送、焙煎、抽出全てにおいてこだわり抜かれたコーヒーがスペシャルティコーヒーと呼ばれます。
またスペシャルティコーヒーでは、トレーサビリティ(追跡可能性)、サステナビリティ(持続可能性)についても考える必要があります。
トレーサビリティ(追跡可能性)
例えば「ブラジル サントス No.2」 という銘柄を聞いたことがありますか?比較的有名な銘柄なので、どこかで目にしているかもしれません。
さて、ここから何が読み取れるでしょうか?
- ブラジル・・・国名
- サントス・・・出荷された港
- No.2・・・ブラジルの最上級の等級(欠点豆の数が基準)
これぐらいですね
では、お米で考えてみましょう
みなさんはお米は何を食べられてますか?
国産米ですか?品種は?コシヒカリ?やっぱり魚沼産ですか?
例えばこの場合ですと、
「日本 新潟県 魚沼産 コシヒカリ」
ここまで読み取ることができます。違いがわかりますよね?
生産されている場所、さらに品種まで読み取ることができます。
先ほどの「ブラジル サントス No.2」ではどうでしょうか?
「食味ランクが特A・一等米の国産米」というところでしょう。
食味ランクが特A・一等米というのですから、美味しいことには違いないでしょう、しかし、国産米というだけではみなさん納得できないのではないですか?
つまりスペシャルティコーヒーはその上なんですよ。
お米で言えば魚沼産の中でも優れた生産技術を持つAさんが、水はけがよく昼夜の温度差のある好条件の田んぼを選んで栽培したお米、
"立地" "品種" "作り手" まで吟味して本当の一杯に辿りつく。
それがスペシャルティコーヒーなんです。
これがトレーサビリティ(追跡可能性)が重視される理由です。
こういった単一品種のコーヒーをシングルオリジンと呼びます。
サステナビリティ(持続可能性)
私たちが美味しいコーヒーを飲み続けるためには、このサスティナビリティが重要になります。
いくら生産者が美味しいコーヒーのために丁寧な栽培をしていても、環境問題や社会問題、経済面、正当な報酬を得ることができずにコーヒーの栽培を続けることができなくなってしまってはコーヒー業界にとっても非常に大きな損失になるからです。
経済面においては、COEなどによって、コーヒー農家に正当な報酬が支払われるシステムが開発されています。その際にも、トレーサビリティが高いこと(どこの誰がどのように栽培したのか)によって、まさにその農家に報酬を支払うことができるのです。
スペシャルティコーヒーの基準
COEでは主に以下の基準にて評価をし、85点以上のスコアを獲得できるとCOE受賞のスペシャルティコーヒーとして認められることができます。
- カップ・クォリティのきれいさ
- 甘さ
- 酸味の特徴評価
- 口に含んだ質感
- 風味特性・風味のプロフィール
- 後味の印象度
- バランス
まとめ
ファーストウェーブ
大量生産・大量消費のコーヒーの時代
セカンドウェーブ
高品質の深煎りコーヒー・エスプレッソを取り入れ、ファッションアイテムとしてのコーヒーの時代
サードウェーブ
産地・農園の特徴を生かしたスペシャルティコーヒーを焙煎・抽出までこだわり抜いた一杯を楽しむコーヒーの時代
スペシャルティコーヒーとは
コーヒーの種子からカップまでの総ての段階に於いて一貫した体制・工程で品質管理が徹底することによって、カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるコーヒー
( From Seed To Cup )
さらに、トレーサビリティ(追跡可能性)・サステナビリティ(持続可能性)が高いことも重要である。
最後に
"立地" "品種" "作り手" まで吟味して本当の一杯に辿りつく。
それがスペシャルティコーヒーなんです。
ぜひ、コーヒーへの理解を深めて楽しいコーヒーライフを楽しんでください。
参考
スペシャルティコーヒーの定義 « SCAJについて | Specialty Coffee Association of Japan
What is Cup of Excellence? - ACE
コーヒー豆を選ぶ | おいしいコーヒーの淹れ方 | 知る・楽しむ | コーヒーはUCC上島珈琲
コーヒー業界の新潮流!3分でわかるサードウェーブコーヒー│ジョージア ヨーロピアン
スペシャルティコーヒーとは | SPECIALTY COFFEE WATARU
本当に美味しいお米の品種まとめ【厳選10種】 | お米専門ページ | ピントル
スペシャルティコーヒーのフレーバーとフレーバーコーヒーの違いについて
今回はスペシャルティコーヒーのフレーバーとフレーバーコーヒーの違いについてご説明します。
まずは香りについて
香りの種類
人が香りを感じるには、大きく二つ、鼻先香(はなさきこう・はなさきか)と口中香(こうちゅうこう・こうちゅうか)です。
鼻先香は、コーヒー豆から漂う香りや、抽出したコーヒー液から漂う香りなど、読んで字のごとく鼻先で感じることができる香りを指します。
口中香は、コーヒーを口に含んだ際に感じる香りや味を指します。この口中香がフレーバーに当たります。
「フレーバー」以外にもコーヒーの香りを表現する単語があります
香りを表現する3つの言葉
- フレグランス(fragrance)
コーヒー豆から漂う香り - アロマ(aroma)
コーヒー液から漂う香り - フレーバー(flavor)
コーヒーを口にした時に感じる風味・香味。アロマ(香り)+テイスト(味)がフレーバーとも言える
改めてフレーバーってなに?
- 食品の香り、味、食感など口に入れた時に生じる感覚をまとめていう言葉。
- 風味、香味とも言う。 食品用に使用される香料のこと。英語でこの意味で使うときにはフレーバリングという。
ようやく本題
で、スペシャルティコーヒーのフレーバーとフレーバーコーヒーの違いって?
スペシャルティコーヒーでいうフレーバーとは前者を指し、フレーバーコーヒーでは両者の意味合いがあります。
スペシャルティコーヒーのフレーバーとは
環境に応じて丁寧にコーヒーノキを栽培することによって、印象的な風味特性を持つコーヒーとなります。
それに対し、
フレーバーコーヒーとは
コーヒーにフレーバー(香り・風味)を後付けしたものです。焙煎の際に香料を噴霧したり、抽出したコーヒーに香料を加えたりして作ります。
わたしが思うにフレーバーコーヒーは、後付けした香りとコーヒーの味を楽しむものだと思っています。そのため、もともとのコーヒーの香りやフレーバーが邪魔になってしまう側面があり、比較的品質の低いコーヒーが使われることが多いです。
スペシャルティコーヒーのフレーバーの世界
コーヒーを飲んだ際に甘みを感じることがありますが、これは甘い香りと共に味わうことによって甘みの共感覚を引き起こすために、甘く感じるのではないかとされています。そのため、スペシャルティコーヒーのように様々なフレーバー(柑橘系の果物やトロピカルフルーツ、またチョコレートなナッツなど)を感じることができると、たった一杯のカップとは思えない多種多様な世界を味わうことができ、わたしはその世界を非常に面白く思っております。
まとめ
香りの種類について | ||
カテゴリー | 名称 | 詳細 |
鼻先香
|
フレグランス | コーヒー豆から漂う香り |
アロマ | コーヒー液から漂う香り | |
口中香 | フレーバー | コーヒーを口にした時に感じる風味・香味 |
スペシャルティコーヒーのフレーバーとは、環境に応じて丁寧にコーヒーノキを栽培することによって、印象的な風味特性を持つコーヒーとなります。
フレーバーコーヒーとは、コーヒーにフレーバー(香り・風味)を後付けしたもので、後付けしたフレーバーがメインになるため、コーヒーの品質は低くなりがちです。
このような違いを知ることでまた新たなコーヒーライフを楽しみましょう
参考
コーヒーにおけるアロマ・フレーバー・フレグランスの違い | Coffeemecca
カップ・オブ・エクセレンス COE:Cup of Excellence について
カップ・オブ・エクセレンス COE:Cup of Excellence とは
WOODBERRY COFFEEより
COEとは、スペシャルティコーヒーのための最も権威のある品評会であり、称号であり、オークションです。
アメリカ合衆国のNPO「アライアンス・フォー・コーヒー・オブ・エクセレンス(優良コーヒー同盟 ACE:Alliance for Coffee of Excellence」によって毎年開催されています
毎年、何千ものコーヒーが審査のために提出され、世界的なオンラインオークションでプレミアム価格で売られ、大半のオークション収入は農家に送られます。
競争は厳しいものであり、産業界の専門家による3週間のプロセスを通じてカッピング評価が行われています。まず、原産国の約10名の資格のある審査員による審査が行われ、その後、約20-25名の経験豊富な審査員世界中から集まる。 300エントリーの競争は平均9,000ものカップをもたらし、それぞれの「トップ10」コーヒーは少なくとも120回カッピングされる。
競技会に参加する各サンプルには、各競技会の審査員にのみ知られている番号が割り当てられ、各陪審員はブラインド方式でコーヒーのカッピングを行います。
さらに、各ロットはプロセス全体を通じて文書化されており、優勝したコーヒーは農場や正確なマイクロロットに追跡可能になっています。
オークションの結果
コーヒーの世界的なバイヤーは、これらの賞を受賞した農家には、一般的に提供される価格を、はるかに上回る、かつてないほどの報酬を与えました。
参加国
2017年には、ブラジル、ブルンジ、コロンビア、コスタリカ、エルサルバドル、ホンジュラス、グアテマラ、メキシコ、ニカラグア、そしてペルーのパイロットプログラムでCOEが開催されます。
優勝した農家さん
COEでの優勝は常にコーヒー農家の人生を変えます。彼または彼女はスターであり、そのために緊張し、拍手を浴び、爽快に、誇らしげにステージ上を歩いています。
まとめ
COEとは、Cup of Excellence のことであり、優良コーヒー同盟 ACE:Alliance for Coffee of Excellence によって毎年開催されている品評会である。
COEとして認められたコーヒーはネットオークションにかけられ、非常に高値で取引され、そのほとんどは農家の方に送られるようになっている。
もっとも一般的なスペシャルティコーヒーの定義である、コーヒーの風味が素晴らしい美味しさであるというコーヒーの評価や、トレーサビリティ(追跡可能性)やサスティナビリティ(持続可能性)が高いこと
COEでは、厳正なる審査によって、コーヒーの評価をおこない、ネットオークションによって、農家の方が適切な評価、適切な報酬を受け取れる仕組みや、透明性の高さによってトレーサビリティ・サスティナビリティという観点でもコーヒー業界に寄与している世界最高峰の品評会であり、オークションであり、称号であるといえる。
参考
Cup of Excellence とは何でしょうか?その1 | | WOODBERRY COFFEE ROASTERS
コーヒーの温度の変化と味覚について
本当に美味しいコーヒーは、温度変化とともに味わいを楽しむことができますが、そうではないコーヒーも存在します。そこで、今回は温度と味覚の関係、温度と成分の関係についてご説明します。
温度と味覚の関係
人の味覚は冷たいものに酸味をやや感じやすく、苦味と甘みは感じづらくなる傾向があります。ちなみに甘みは体温と同じくらいの時が一番感じやすくなります。
味覚の温度特性 | |||
高温 | 中温 | 低温 | |
苦味 | ◎ | ◯ | △ |
甘味 | ◯ | ◎ | △ |
酸味 | ◯ | ◯ | ◎ |
※酸味は温度依存性が低いという研究報告もあります。
温度と成分の関係
淹れたては美味しいと思っても、冷めていくにつれてコーヒーが濁り、苦味や渋みが増していくように感じたことはありませんか?
温かい時は溶けていた一部の成分は、水温が下がると溶けていることができずに味わいに影響してきます。多くの場合は「欠点豆」が原因ですが、抽出のときに高温のお湯で時間をかけすぎ、渋みにつながる成分までを出してしまっていた場合も考えられます。
また、コーヒーには変化しやすい成分がたくさん含まれており、淹れたての温度が高い状態ではこの変化はどんどん進みます。
さらに
コーヒーは酸素によって酸化します。
コーヒーの中には酸素も溶け込んでおり、この酸素が変化を促進します。また、一般的に温度が10度下がるごとに酸化速度が1/2になると言われています。
ホットコーヒーの温度を60度
アイスコーヒーの温度を10度
とするとホットコーヒーはアイスコーヒーの32倍(2の5乗)で酸化していきます。そのため、淹れてから長時間経過したホットコーヒーは悪い意味で酸っぱくなり、美味しく飲めなくなります。
コーヒーの温度変化を楽しむ
とはいえ、普通に一杯飲む分にはそれほどのダメージはありませんので、よければ一杯のカップを飲む際に淹れたての熱々の状態から冷たいなるまで楽しんでみてはいかがでしょうか?
コーヒーの温度が高いとき、私たちが感じるのは、「フレーバー(風味)」と「香り」です。それがだんだん冷めていくと、今度は「酸の質」と「甘さ」が出てくるようになります。カップのコーヒーを置きっ放しにすると、単に酸化が起こって美味しくなくなるだけですが、10分から30分ほどかけて、ゆっくりとコーヒーを味わうことは、理にかなっているのです。
ひょっとしたら、最初の一口はあなたの好みとは違うかもしれません。でも冷めてきたら、まったく印象の違う、あなた好みの風味を醸すかもしれないのです。もちろん逆もまたしかりですが、「コーヒーはゆっくりと温度による変化を楽しむ」ことを心がけていただくとまた新しい発見があるかもしれません。
参考
Coffee Hunting Note 100カップログ[Lite版]
- 作者: 川島良彰
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 2015/08/20
- メディア: Kindle版
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たった一杯で、 幸せになる珈琲 10時間でマスター! 猿田彦珈琲の家コーヒー入門
- 作者: 大塚朝之
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/12/02
- メディア: 単行本
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コーヒーの協会(SCAJ)と競技(JHDC)について
先日、JHDCのボランティアスタッフとして参加してきましたので、JHDCと主催のSCAJについてご説明いたします。
SCAJとは
Specialty Coffee Association of Japan の略で日本スペシャルティコーヒー協会のことです。
SCAJでは、コーヒーに関する資格「コーヒーマイスター」の認定や、JHDC(ハンドドリップ)・JCRC(ロースティング)などの競技会も主催しています。
JHDCとは
Japan Hand Drip Chanmpionship の略でSCAJ主催のハンドドリップの競技を指します。
一杯ずつ丁寧に淹れるというハンドドリップの文化は日本独自の文化であったため、ハンドドリップだけの競技会は日本でのみ行われています。
JHDCの歴史
JHDCは2012年に誕生した日本スペシャルティコーヒー協会主催の競技会です。日本独自の競技会だけに、日本の文化や時代背景を十分に取り込んだオリジナリティに溢れるルールが魅力の競技会です。
また、2014年からはトーナメント方式を採用。さらに2016年からはスコアシートも大幅に改良、香味や質感という日本独自の表現を取り入れています。今もなお進化し続ける競技会です。概要 « ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ (JHDC) « 競技会 « 活動内容活動内容 | Specialty Coffee Association of Japan
JHDCって何する競技会?
大きく分けて二つの競技、ドリップ競技とフリー競技があります。
ドリップ競技では、コーヒーの味覚をメインに評価し、フリー競技では、プレゼンテーションをメインに評価します。
競技ルール
予選ではドリップ競技のみを行い。本選ではドリップ競技とフリー競技の両方の点数で競います。
ドリップ競技
リハーサルの時間が15分、競技の時間が10分、使用するコーヒー豆は参加者全員共通の公式焙煎豆を使用します。
リハーサルの15分の間にコーヒーの抽出から味覚の確認まで行っていき、どのような抽出が適しているのか、確認を行います。
フリー競技
準備の時間が5分、競技の時間が10分、使用するコーヒー豆は参加者全員共通の公式焙煎豆を使用します。ただし、フリー競技で使用するコーヒーは約1ヶ月前にコーヒーのプロファイルとともに1kg配布されます。
共通
使用器具はスポンサー指定器具を使用します。有名な会社がスポンサーをしておりますので、普段使っている器具が使えないということはまず無いと思います。
予選ではフランネルは使用できませんが、決勝では使用することができます。
見所
JHDCの概要のページでは以下のように記載されております。
同じ珈琲豆を使用しても全員が違う味になるドリップコーヒー。もっともポピュラーでシンプルな抽出方法であるからこその工夫やアイデアが楽しめます。
わたしが実際に見て面白かったのはやはり決勝のフリー競技
競技者の元へ指定のコーヒーが1ヶ月前に1kgも配布され、それぞれがそれぞれの抽出をしてテイストやフレーバーを確認し、それぞれがそのコーヒーの特徴を考え、どんなテイスト、フレーバーを出すのが最も適しているのか、そして、そのためにどのような抽出法を取るのか、考え抜いたものを、フリー競技の場でプレゼンとして想いを伝える。
コーヒーは嗜好品であるため好みが違うのは当然で、ハンドドリップは人の手で淹れているのだから味がブレるのは当然で、その中で、競技者それぞれが思う最高のコーヒーを提供するということがとても面白いです。
また、フリー競技の準備時間では、競技者それぞれが持参したカップやテーブルクロス、プレゼンの資料の配置など、さらに別の観点から趣向を凝らしたものが見えてとても面白いです。
競技会の映像はYoutubeにもアップロードされていたりしますので、ぜひ一度見てみてはいかがでしょうか?